「いろんな階段」

さて、気を取り直していきましょう。 先ほども書きましたが、初期の誘導はそれほど種類がないようなので、基本的な凝視法をとることにしています。

若干、特殊なかけ方をする場合もありますが・・・
そこで、今回は深化のさせ方についてです。

私は、深化の方法に「階段」を使います。
とってもオーソドックスだと思うかもしれませんが、みんながイメージできるものが良いものだと私は考えています。

見たり聞いたりしたことの無い物では、イメージが作れず誘導が失敗してしまいますからね。
まさか、階段を知らない人はいないでしょうからね。

階段を何段かイメージしてもらい、それを下って行くと深い催眠にかかると暗示をかけます。
普通は、階段を10段イメージしてもらい、それを下ってもらうイメージを暗示によって与えます。

「階段が下向きに10段あります」
「それを降りて行くと、深い催眠に入ります」
「降りますよ」
「10段・9段・・・」
と言った具合に降りて行くイメージを与えます。

何人か誘導すればすぐに分かることですが、階段はみんなが知っていることは間違いないのですが、その人によって持っているイメージが、大きく違うことに気がつきました。

何人かにかけて、そのイメージした階段の話を聞くと、それはさまざまな階段があるんだと感心すらしてしまいます。

「下向きに階段がある」としかイメージを与えていないのに、どんな階段だったと聞くとほとんどの人が「暗い階段だった」と答えます。

ほかにどんなイメージあるかと言うと、
「狭い階段」
「レンガの階段」
「囚人の階段」
「下のほうがよく見えない階段」
中には、 「怖い階段」
「死刑囚の階段」(あれって下りじゃないぞ?)
「爪先立ちで降りる階段」とかさまざまです。

本当は、この感想から心理的な物を読取る洞察力がなければいけないのでしょうが、まだ見習いなのでそこまではわかりません。

そして、驚いたのが、「怖い階段」をイメージした人は、急に反応が変わったことでした。
様子がおかしいのはさすがに直ぐに気がつくのでいったん起こします。

「どうしましたか」と尋ねると「怖くて降りたくなかった」と答えました。
そのとき始めて、自分でイメージした階段が怖くて降りられないことがあるのを知りました。

深化できなければ、リラックス以外何も出来ないので、何とか深化してもらおうとそのときは「エスカレータ」をイメージしてもらうことにしました。

エスカレータなら、立ってるだけでどんどん下ってしまいますからね。
ただ、問題なのはそれで深化するのかでした。

結論から言うと、うまく深化できました。
理由は、わかりません。
というより、階段を降りるとなぜ深化が深まるか、それ自体を疑問に思ったことすらなかった私ですからね。
下に下りれば、何でも良いのかもしれませんね。

そのことがあって以来、階段を降りるイメージを与えるときは、足元は明るいですなどの安心できる階段のイメージを、想像しやすいように工夫をしています。

そうそう、階段を降りるときに深化が深い人は、ちゃんと足を交互に出すしぐさをするんですよ。
びっくりしましたよ。私の声に合わせてちゃんと階段を降りるように足をちょっとずつ、動かしたんですからね。

でも、今までの経験では、そこまで深化の過程で起こる人は、あまりいませんね。
あなたの階段は、どんな階段ですか?


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