「再挑戦(どうしてもかかってみたい)」

催眠誘導の練習を始めてから、いったい何人にかけただろう?
正確には数えていないが、毎月平均7人ぐらいだろうか。
となれば約80人に誘導を実際に行ったことになる。
そのうち、全くかからなかったのは25人ぐらいはいたでしょうね。
全くかからないほど、虚しい時はないですね。

どうすることも出来ないから・・・
どうしてかからないのかな?
何がだめだったのか?
被験者本人から感想を聞いたり、見習いなりに原因を考えたりします。
誘導が強引ではなかったか、ラポールが足りなかったのではないか、パスのしかたがわるかったか、それともタイミングが悪かったか、うーんわからない。

かからない人は、全く誘導に反応しないか、誘導に集中できていないかのどちらかだろうと見習いは考える。
もちろん、これは被験性があるにもかかわらず、かからない場合です。
きっと、それぞれ理由があるのでしょう。
それに配慮できるようにならなければ、いつまで経っても上達はできなそうです。

かかっている人を見て、私もかけてほしいと強く要望される時がありますが、そんな時はたいていかかりが悪い(浅い)か、かからない場合が多いのです。
本人は、どうしてもかけてほしいので必死になっているのが、ヒシヒシと伝わってくるののですが、見習いには特になすすべもなく、失敗に終わることが多いです。
とっても、悔しいのである。
いろんなかけ方をしても、だめなのです。
かけている最中で、目を覚ます人も少なくない。
なかでも、失敗だと完全にわかるのは、笑った時ですね。
誘導中に笑いが出ると言うことは、誘導されていない、集中できてないということですからね。

3つ数えると、何でもかかるほど世の中、甘くないのである。
どんなものでも、奥が深く、知ろうとすればするほど、更なる難しさに気づく。
前置きが長くなりましたが、本題にそろそろ入りましょう。

そんな訳で、今回は以前うまくかからなかった被験者で、もう一度挑戦したいというNobuさん、Katsuさん、Katsuさんの後輩さんの三人です。
一度失敗していて、見習いの方からお願いをして再挑戦をさせてもらったことは何人かいるんですが、逆にお願いされたのは始めてかもしれませんね。
ありがたいことです。
練習になります。

まずは、被験性を確かめます。
3人まとめて、被験性を確認します。
3つ数えると、後ろに引っ張られます
3・2・1、後ろにぐっと引っ張られますよ
うーん、いかにも被験性があるように、3人とも後ろにふらつく。

とりあえず、熱望しているkatsuから、かけることにします。
最近はあまり使わなかったペンライトを念のため使用して挑戦です。
しかし、結果から報告すると「ざんねん失敗」でした。
katsuさんからいろいろ話を聞いてみると、どうやら見習いが誘導している世界とは別に、かかろうとしている自分の世界(心の中のイメージ)があり、自分の心の中で、見習いさんが「集中して、光を見て」と言ってるぞと、光を見なくちゃ・集中しなくちゃ、と自分に言い聞かせているのだそうだ。

これでは、かかる訳がない。
十分すぎるほど集中できていないではないですか。
いや、集中をしているポイントが違うというのだろうか?
見習いの誘導を、自分とは別の所から聞こえているという感じなのかな?
ここまで、具体的に話を聞けたのは、とても参考になりますね。
人のイメージの作り方は、本当に興味がありますね。

見習いが、katsuさんの心に溶け込んで行くには?
katsuさんの意識をどうやって見習いの世界に連れ出すのか?
そのあたりにヒントがあるような気がします。

さて、失敗にはなれているので、気分新たにさっさと次に行きましょう。
お次は後輩さんです。
確かkatsuさんの学校時代の後輩とか・・・
後輩さん曰く、何でもかけてくださいとのこと。
何でもと言われるほど、いろんな事ができる訳ではありませんが、遠慮なく胸を借りることにしましょう。

今回は、後輩さんだけは初体験なので、唯一の成功のチャンスと考え、ちょっと緊張しながらも、早速かけていきます。
だって、後輩さんにしくじったら全滅(3人誘導連続失敗)ですから、私には練習になっても、相手方には気の毒になってしまいますからね。
とことが、後輩さんは良くかかる。いい人だ!
ここは、3人分ぐらいかけてしまおう。

後輩さんのたっての希望であった、名前の健忘をかけてみることにしました。
見事に、健忘してくれます。
その時の様子を彼はこう語ってくれました。
自分の名前が、頭の上というか後ろのあたりにある感じがする。
思い出せそうなんだけど、言えないんだねこれが・・・
自分の名前が、頭の外にあるというイメージですね。
見習いは、そんな暗示はかけてませんよ。
本人には、名前の健忘のイメージが名前は頭の外にあるということだったんでしょう。
これも、面白いイメージですよね。
人によっては、こう行った暗示をすれば健忘する人もきっといるのでしょう。
本当に勉強になりますね。

お次は、カエルのように「ケロケロ」しか言えないという暗示です。
普段は、本人が周囲に笑われていやな気持ちになる暗示はかけないのですが、本人が挑戦したいというので、あえてやってみました。
結果は、暗示はばっちり聞いているようですが、後輩さんは一言も喋ろうとはしません。
喋ろうとすると、「ケロケロ」しか頭に浮かばないそうです。
本人も喋れば「ケロケロ」と言ってしまうとジェスチャーで答えます。
喋らないのでは、仕方がないので暗示をといて感想を聞きました。
喋ろうとすると、「ケロケロ」が頭をよぎり、言いたくなかった。
ちょっと辛い感じがあった。
でも、喋らなければいいんだと考えたとたん、楽になった。

ここで選手交代。
araさんの番です。
しかし、やっぱりかかりが悪いんです。
最も基本的な、手足が重い軽い程度の挑戦にしてみることにします。

3つ数えます
3つ数えると手足が鉛のように重くなる
3・2・1、ずーんと重くなる
どうですか?体の調子は?
あんまり変わらないみたい?

うーん、良く分からないけど、失敗なのはわかったぞ!
しばく休憩ということで、4人で話し込んでいると、araさんが見習いに言いました。
手足が重くて動かない〜
おっと、一人時間さ攻撃か〜
効果に時間がかかるとは、気づかなかった。
確かに、見るからに全身鉛の様子。
なんだ、かかってるじゃないですか。
araさんは、体が重い〜、早く解いて〜
解くのだけは、どうやら良く効くらしい

3つ数えると全ての暗示が解ける
3・2・1、全身軽くなってすっきりとしますよ

人それぞれ、イメージの持ち方、暗示の効き具合、かかる時間など本当にいろんなパターンがあるんだとしみじみと感じました。
いやー、araさんがここを帰ったあと、暗示が効果を出し始めていたら大変なことになってましたね。
かかってないなどと、見習いが適当な判断をすると、大変なことにもなりかねないところでした。
駄目だと思っても、とりあえず暗示は解いて返しましょう。
最後まで、練習&勉強になる日でした。

ご協力いただいたaraさん、katsuさん、後輩さん、どうお疲れ様でした。


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