「見なかったコトに」

久々に「催眠術にかかってみたい」というお声が掛かり出動してきました。
今回のクライアントは、OL4人組?です。
ずいぶんかけてなかったので、かけかたを忘れてないか、暗示を失敗してしまわないか心配でしたが、会った瞬間「大丈夫・かかりそうだ」とピンとくるものがありました。
どこがかって、それは感覚的なことだから説明しにくいなー

今日は仕事が終わった後に、食事でもしながら気軽にかける予定とのこと。
場所は、渋谷のとある飲み屋さん。
話によると、個室っぽい部屋があるそうなのでそこでやろうと言うのです。
さすがに人目が多いと恥ずかしいらしい(見習いも同感ですが)
さて、どんな個室かなと思えば、仕切った6人掛の席にのれんがかかっている部屋?でした。

でも、人目は大分避けられるので、そろそろ始めましょうか。
まずは、何かリクエストがあるか聞いてみると、「興味はあるんだけれど何をかけてもらいたいかまでは、具体的に考えてきてない」「逆にどんなことができるのか教えてほしい」ということでしたので今までやってきた内容などを説明しました。

ま、難しいこと考えずにかかりやすいか被験性の高さを調べてみましょう。
久々なので、失敗しないように一人ずつ丁寧に、かけることにします。
一人目は、一番かかりそうと見習いが感じたMiwaさんからです。
いつものように、軽く深呼吸してもらい、目をつぶってイメージを創ってもらいます。

あなたの後ろに男性がいます
その男性が、あなたの肩をしっかりとつかんでいます
私が3つ数えるとその男性があなたの肩を強く引っ張ります
数えますよ
3・2・1

Miwaさんの体に緊張がみられます。
表情もこわばった感じです。

はい、目を開けてください
男性はイメージできましたか?
Miwa :はい、できました
見習い:知っている男性でしたか?
Miwa :はい、知っている人でした

かかりやすい!にらんだ通りだ。
お次は、Akemiさんを調べることにします。
同じように被験性を見てみます。

私が3つ数えるとその男性があなたの肩を強く引っ張ります
3・2・1
今度は体が後ろにググっと引っ張られます。
うーん、いい感じだ。
今回は楽させてもらえそうだ。

と、その時お店のお兄さんがのれんからひっこり顔を出し誘導の様子を眼のあたりにしました。
なんせ、催眠誘導の最中ですから、こっちはやめられません。
お兄さんは、見ては行けないものを見てしまった!
と、顔に書いてあるような、お目目ぱっちりで、一瞬時が止まった様子でした。
すかさず同僚のMidoriさんが、「これは、見なかったことに」とお兄さんに念をおします。
お兄さんも「はい、わかりました。これは見なかったことに、誰にも内緒にします」と言って後ずさりして行きました。

Akemiさんには、目を開けてもらい、みんなが注文が全部来るまでちょっと待とうということになりました。
やっぱり、お店の人が来ると思うと集中できないとのこと。
うーん、まだ場所を気にさせるようでは、術者としては未熟だな。
とはいえ、居酒屋でのれん1枚しかも大きな隙間ありでは、気にするなと言う方が無理かもしれませんね。

しばらくして、「せっかくだから、そのまま続きをやってみて!」と声がかかりました。
それでは、リラックスの暗示から行きましょう。
Akemiさんは、速くかける方が良さそうなので、一気にかけます。

こっちを見て、私の指先を見て・・・
はい、目をつぶって、体の力がすーっと抜けて行きます
3つ数えると、体が左右にゆれます
3・2・1
だんだん大きくなって、揺れれば揺れるほど深い催眠に入っていきます

揺れがおおきくなったので、揺れる向きを変えてやります。
3つ数えると、体が前後にゆれます
3・2・1

・・・・・ちょっと省略・・・・・
あなたの体の疲れも、いやなことも、ストレスも、砂の様にサラサラと抜けて行きます
どんどん抜けて行きます
そうすると、今度は体がぽかぽかとやさしい暖かさに包まれます
気分がとってもリラックスして、安心できる感じです
体も軽くなってきました

それでは、いったん目を覚ましましょう
3つ数えると、すっきりとさわやかに目が覚めます
3・2・1、起きてー

Akemiさんは良くかかっていた様子です。
すっきりさわやか、と言うよりは寝ぼけた感じでこっちを見ています。

見習い:気分はどうですか?
Akemi :うーん、とってもリラックスした感じです
見習い:もうちょっと深くかけてみようか?

こっちを見て・・・
眠って!
Akimeさんはすぐに催眠入ります。

あなたにかける暗示は1つです
目が覚めた後、自分の名前を聞かれてもしゃべる事は出来ません
しゃべろうとすると、のど元でつっかえてどうしてもしゃべることができません
暗示はこれだけです
さて、目を覚ましてもらって、いよいよ後催眠暗示の効果を見てみることにしましょう。

見習い:ごめんなさい、あなたの名前を忘れてしまったので、もう一度きいていいですか?
見習い:あなたのお名前は?
Akemi :私の名前は、・・・です
見習い:え、もう一度言って下さい
Akemi :・・・、名前だけが声に出せない!
Akemi :のどで詰まる感じ、ちょっと苦しい

苦しいのは、良くないなと思いすぐに暗示を解きます。
見習い:3つ数えると、暗示は解けます。1・2・3
見習い:あなたのお名前は?
Akemi :Akemiです

同僚の3人も驚いていました。
おー、久々だけど成功しましたねー

しかし、お店のお兄さんのの興味津々な顔といい、「見なかったことに」には笑えました。
渋谷の居酒屋であったお兄さん、メール待ってます。
ちなみに、あなたはとっても深くかかりそうですよ。



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