「大勢の前で 3」

さて、今度は男性です。
どんな暗示をかけましょうかと聞いた所、周りから煙草を吸えない暗示のリクエストがありました。

どうやら、かなりのヘビースモーカーらしいのです。
煙草が吸えないのはかわいそうなので、「煙草を吸おうとして煙草を持つと、煙草が重くなって、持つことが出来ない」そんな暗示をかけることにしましょう。

あまり時間もかけられません。
先ほどの練習で、被験性が見られたようなので、いっきに、暗示を入れてみましょう。
本当は、もう少し丁寧にかけたほうが良かったんですが、雰囲気が雰囲気なだけに、その場ののりに合わせてかけ急いでいたのかもしれませんね。

見習いの手を、じっと見てください
そのまま、大きく深呼吸してください
ゆっくり目をつぶって
体の力が、スーっと抜けて行きます
・・・ちょっと省略・・・
あなたが、煙草を吸おうとして煙草を持つと、その煙草がだんだん重くなってきて、持つことが出来ません
煙草を吸おうと思えば思うほど、煙草がどんどん重くなって行きます
・・・さらに省略・・・
3つ数えると目が覚めます
3・2・1
起きてください誘導の様子

見習い:軽い催眠状態には、なったと思います
見習い:気分はいかがですか?
男 性:大丈夫です
見習い:見習いの声は、ずっと聞こえていましたか?
男 性:はい

さあ、周りに居た仲間たちは、煙草を吸ってみろ、吸ってみろとみんなで煙草を勧めています。
見習いは、ちょっと反応が読みきれず、半々かな?かかったかな?と言った感じで男性の行動をみんなとは別に、祈るような気持ちで見ていました。
男性の様子は、挑戦的な感じはなく、できれば吸わなくてもいいような感じに見うけられます?

いよいよ、煙草を吸おうと準備を始めます。
男性は、自分の煙草を右手でなんなくつかみ、ライターで火をつけました。
そして、そのまま口元に近づけます。
ゆっくり、一服。
あら、失敗かな?と思ったので、男性に今の感想を聞いてみます。

見習い:なんともないですか?
男 性:いや、煙草が吸いずらい感じです

男性は、一服するとすぐに腕を下ろしました。
また、周囲の仲間から、「どんどん吸ってよ」と声が飛び交います。
どうやら、煙草を手にしている右腕の動きが、鈍くなっているような感じが見えます。
すると、どうでしょう、男性は煙草を口元に持って行けなくなり始めました。

おっと、効き始めたかな?見習いはそう感じました。
そこで、男性に今の状態の感想を聞きました。

見習い:今、どんな感じですか?
男 性:だんだん、腕が上がらなくなってきました
見習い:それでは、煙草を置いて腕を上げてみてください
男 性:おっ、腕が上がる
見習い:もう一度、煙草を吸おうとしてください
男 性:うーん、上がらない

座っている男性は、煙草を持つと、ひざに置いた手の位置から上には、動かなくなっていました。
どうやら、暗示は成功したみたいです。
と思ったのもつかの間・・・

周囲の仲間の「吸え吸え」コールに、なんとその男性は、火のついた煙草を左手に持ち替えて、吸い始めたではありませんか?
ど・どうして、ついさっきまでは、煙草を持つと腕が上がらなかったのに、左手に持ち替えたら、そんなに簡単に吸えるの?
左右の腕に関する暗示は、ひとつも言ってないのに?

見習い:右手で吸ってみてください
男 性:右手だと、腕が上がらなくて吸えません
見習い:左では煙草がもてますか?
男 性:はい、左だと持てるし、吸えますね

う〜ん、これまた、ずいぶん中途半端な暗示のかかり方してるなー
どう、解釈していいのかわからない?
確かに、煙草を持つと重くて持ち上がらない。
しかし、左手だと、何事もなかったかのように、普通に煙草が吸える。
そんな、難しい暗示だしてないのになー
この、男性は煙草を吸うのは、右手の役割とでも心に決めているのか?
そんな人、いままで聞いたことないしな
だいたい、かかった男性も理由がわからない(当然か)のだからしょうがないか。
後でゆっくり考えよう

でも、被験者になってくれた男性本人も、かかった事を認識(理解は難しいかな)してくれたみたいだったし、周囲のお客さんもその反応を楽しめた様子でした。
見習いは、かかった点では安心しましたが、あの中途半端な暗示のかかり方は、理解できませんでした。
ま、見習いだから、こんなもんかな?

もう一人ぐらい、いっときましょうか。
酒井シェフが、いつもたべたべ会で受け付けをお手伝いしている女性スタッフ?を呼んで、彼女に被験者になってもらいました。
どんな暗示をかけるのか、成功か・失敗か次回 につづく



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