「大勢の前で 4」

さて、今度はたべたべ会ではお世話なっている、いつも受付をされている女性です。
いったいどんな暗示をかけましょうか?

すると、酒井シェフから、お水を飲んで酔っ払う暗示のリクエストがありました。
おぉー、難しいーリクエストですねー
しかも、お水がワインに見えるようにとのこと
さっき、半かかりだったのに、いきなり幻覚&味覚変化とは・・・

しかし、ちゅうちょしている時間がありません。
やってみましょう!(大勢の前ではあとに引けないゾ)
さっそく、誘導開始!!

被験者の女性に向かって
大きく息を吸ってー (ついでに見習いも吸ってー)
大きく長く、息を吐いてー (みなさんはやらなくてもいいの)
もう、時間がないので、ここでも一発勝負

私の手を見て
もう一度大きく息を吸って
ゆっくり目をつぶって
体の力を抜いて、リラックスしてください

・・・省略・・・

あなたに暗示を与えます
あなたが目を覚ますと目の前に白ワインがあります
とってもおいしそうな白ワインです
そのワインを飲むと
いつもより、気持ちよく酔うことができます
たくさん飲んだときの様に、酔っ払ってしまいます
暗示はそれだけです
3つ数えます
3つ数えると、すっきりと目が覚めます
1・2・3
起きて下さい

目を覚ますや否や、シェフがグラスにお水を入れて、彼女の目の前に置きます。
酒 井:ワインをどうぞ
女 性:・・・
見習い:・・・

周囲の熱い視線が、彼女とグラスに注がれます。
しかし、女性が水の入ったグラスを見て、ちょっとテレ笑いしたのを、見習いは見過ごしませんでした。
失敗だ!
幻覚が起きてない
すぐにわかりました
参ったなー、ちょっと強引すぎたなこりゃ
それでも勧められるワイン(お水)をやっと飲み始めます。

ところが、様子が少し変です。
本人もそれがお水が入ったグラスということはわかっているのに、ちょっと一口飲んだだけですぐにやめてしまいます。
なんだなんだ、今度はどうなったんだ?
もう、暗示をかけた見習いも訳がわかりません
どうやら、周囲もワインに見えていないことに、気づき始めた様子です。

酒井:これ何に見える
女性:お水

それならといわんばかりに
酒 井:もっと飲んで
女 性:酔っちゃうから飲めない
見習い:???

ワイン(お水)のグラスを半分のみ切った時点で、だいぶ彼女の様子が変になってきました。
カウンターによっかかって立っているのがやっとの様子。

見習い:椅子に座りますか?
女 性:お願いします

どうやらワイン(水だと気が付いている)を飲んで、酔っ払っているようです。

見習い:お酒は強いほうですか?
女 性:はい
見習い:今日は沢山飲みましたか?
女 性:いいえ

どうやら、幻覚(お水がワインに見える)は失敗したようですが、ワイン(お水)でいつもより酔うという暗示は効いているようです。
今回は、中途半端な暗示のかかり方が多いなー
暗示の出しかたが悪いんだなこれは・・・
だって、被験性はあるし、かかってはいるのだから・・・
そうこう、しているうちにグラスのお水をやっといっぱい飲み干しました。
椅子にやっと座っている感じで、かなり辛そうです。

見習い:大丈夫ですか?
女 性:酔っ払いましたきついです
見習い:暗示を解きますか?
女 性:お願いします

周囲も「おおー酔っ払っている」といった感じが、伝わった様子。
お水でこんなに酔っ払ってくれるとは、意外と安上がりな暗示だな、飲み代のかかりそうな女性にはうってつけだね。

さて、苦しがっているので、さっさと暗示を解きましょう
3つ数えます
3つ数えると今日かけた暗示は全て解けます
1・2・3

見習い:起きて、目が覚めた?
女 性:はい
見習い:酔っ払ってない?
女 性:大丈夫です

今さっきまで、椅子に座っていないと、倒れてしまいそうな感じだったのに、暗示が解けたとたん、すたすたと受付に戻っていきました。
まるで、何事もなかったかのように。

ふー、一時はどうなるかと思いましたが、何とかごまかせました。
人に見せる為の催眠術の難しさが、わかりますね。
師匠をはじめとするTVでご活躍の催眠術師の皆様、お疲れ様です。

次回は、最後にかけた方を紹介します。



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